福島県浪江町から
12月16日(2013)、４人で福島県浪江町に行ってきました。
↑ 国道６号線を南下し、新地町を過ぎると福島県に入ります。そして相馬市、南相馬市を過ぎると、小高というところに出ました。道路の左側、つまり海側は一面、津波の被災地が今でも殆どそのままになっています。
↑ 「希望の牧場」とYさんの家がある立野地区に入る前にあった「ローソン」駐車場に車を止めました。近くに民家はあるのですが、勿論、すべて無人です。駐車場わきの地上１メートルの放射線量を測定してみました。3.51と3.78μSV/hourでした。左側の測定機は浪江町から貸与されたもので、低く値がでるので、町で校正してもらったのですが、それでも他の測定器よりやや低い値がでます。右の機械の値で換算すると、ここに住めば33mSV/yearの被曝となります。
↑ 途中に神社（上左写真）と集会所があり、そこに立派な放射能測定表示装置、いわゆるモニタリングポスト（上中写真）がありました。表示は 3.365 μSV/hourでした。同じ高さで我々の機械で測定したところ、3.95 μSV/hourでした。他の測定器でも皆、高くでて、やっぱりモニタリングポストは２，３割低い値を示していました。
↑ 牧場の右手のはるか向こうに牛の群れが見えます。すぐ近くに一頭の茶色っぽい毛色の牛がいました。やせていて病気の牛にみえました。作業所の入り口に軽乗用車がありました。我々を薪ストーブの周りに座らせてくれ、牧場主の吉沢さんは、トツトツと事故後の様子を聞かせてくれました。
↑ 牧場の近くにあるYさんの家に着きました。家の後ろは山の斜面です。測定器は警報音を出し続けています。上左の写真は、家族がとるものもとりあえず、逃げた時の様子を物語っています。庭からは遠くに原発の建物が見えます。上右の写真は大型の農機具が置いてある場所ですが、５年以上たったものについての補償はしないとのこと。
浪江駅に行く途中、２カ所で放射能の測定をしましたが、あまり長くなるので、省略します。一カ所はYさんの家から坂を下った水路の上。もう一カ所は一面の田んぼの脇の水路の近く。広大な地域が酷く汚染されて、とても除染は無理だと実感されました。
↑ 浪江駅。上中央の写真は駅の前に立つ記念碑。「しばし別れ」という言葉が故郷への「長い別れ」になり、皮肉な記念碑です。「安心して暮らせるまち」という大きな看板も色あせていました。まさにその犯人は原発事故でした。駅前の二つのモニュメントは、原発のおそろしさの象徴だと思いました。
↑ 浪江駅周辺のビルなど、すべて無人。上中央の写真のように、地震の影響がみられない建物もありました。しかし町が放射能で汚染され、無人では、営々と築いた努力もむなしくなりました。小生も診療所をやっているので、そのむなしさ、憤りが分かります。町にはガソリンスタンドが一軒だけ営業しており、４時以降は町には立ち入り禁止。走っている車はパトカーだけ。我々はあちこちで上右の写真のように測定を繰り返して、帰りました。